死に様と
生き様が
交差する
森こそ
豊かと言える
砕け散る
光のひとかけら
肌に受けて
深い静けさと在る
緑の海の波の下
人は
一生で
何人くらい
尊敬できる人に
出逢うだろう
すべては
連鎖の中に存る
人間もまた
ひとつの
分解者なのだ
ときどき
木に抱かれたくて
木に抱きつく
木は何も言わず
内緒で抱いてくれる
一体この星では
いくつの鼓動が
鳴っているのだろう
母体からもう一つの
心音が聴こえてくる
まっすぐ
歩けない
森は
人生と
似ている
目に映らなかったものが
耳に届かなかったものが
心をノックする
どうぞ、お入りください。
ようこそ、どうぞ。
新しい自分を
生み出す
これまでの
自分を
忘れずに
ぼくのものは
なにもない
ぼくは
いつも
いただいてばかり
明日
みんなに
今日のことを伝える
昨日までの
ことを踏まえて
誰かの
何かの
役に
立ちたいと
思う
ぼくはいま
森の入り口にいる
奥のその奥に
これから
向かうところ
いのちを
みつめて
生きていく
そう
きめた
老木が倒れた
鳥 虫 雨
太陽や風たち
集い
またそこに種が息づく
森の中に
入らせて いただく
楽しげな
木があれば
悔しそうな
木もある
森にいる
才に逢い
木は材に
人も
才に逢い
容を成す
雨が上がったら
発とう
気流を
乗り継いで
ずっと遠くへ
風にさけぶ
風にわらう
風にはなし
風にだかれ
風を見送る
木に
月に
風に
術を
乞う
いのちの懸命さ
いのちの儚さ
いのちの尊さ
いただいた時間を
力一杯、生ききる